HOME>飲食店繁盛研究所>ドタキャンされた!でもキャンセル料ってもらえるの?(その2)

ドタキャンされた!でもキャンセル料ってもらえるの?(その2)

2016年09月16日



飲食店さんの悩みの種でもあるドタキャンや無断キャンセルですが、法律的にキャンセル料はもらえるものなんでしょうか?センチュリー法律事務所の弁護士、野村氏にお話を伺いました!



―飲食店は、キャンセル・無断キャンセルをしたお客様にキャンセル料を請求することは可能ですか?

キャンセル料を請求することは可能です。
飲食店とお客様との間で交わされる予約は、「誰に」「何時」「何名で」「どのような食事を」「何円で提供するか」を定めた契約行為と評価できます。契約行為は書面で取り交わさなくても口頭で成立することになります。このような契約がキャンセル(解約)された場合には、飲食店に生じた損害をキャンセル料金としてお客様に請求することが可能になります。



―キャンセル料の相場はいくらくらいでしょうか。

インターネットで検索すると、「10日前 ご飲食代の20%」「3日前 ご飲食代の30%」「前日 ご飲食代の50%」「当日 ご飲食代の100%」といったキャンセル条項を記載しているものなどが見受けられました。

しかしながら、実際には、飲食店とお客様との間の予約契約には、消費者契約法が適用され、「平均的な損害」を超える請求を認める条項は無効とされてしまいます。判例でも、飲食代金の30%のみを「平均的な損害」としてキャンセル請求として認めたものがあります(判例タイムズ1117号P289)。キャンセルが発生した場合には、材料費や人件費を飲食店側も免れていると考えられるので、飲食代金全額をキャンセル料として請求するのは法的に難しいケースが多いと言えます。



―席のみの予約をしたお客様がキャンセルした場合、キャンセル料金はどのくらいで設定すればよろしいでしょうか。

キャンセルの時期にもよりますが、通常のお客様の粗利益程度をキャンセル料金として設定するのが合理的であると考えられます。実際にコースを注文したお客様がキャンセルした場合とは異なり、席のみ予約のお客様の場合には、お店がキャンセルによっていくらの利益を喪失したのかがわかり難いので問題となりますが、その席でお店が実際に得られなくなった通常利益が損害と評価できます。




―キャンセル料を請求できないケースがあれば教えてください。

キャンセル時期が予約日より相当期間前であるなど、当該予約日にキャンセル後に他のお客様からの予約が入る可能性が高い場合には、キャンセル条項は無効(飲食店に損害がない)と評価されてキャンセル料を請求できなくなるケースが考えられます。



―キャンセル料に関して気をつけておくべきポイントがあれば教えてください。

飲食店での予約は電話でなされることが多いと思いますが、「誰に(氏名及び連絡先を含む)」「何時」「何名で」「どのような食事を」「何円で提供するか」を明確に予約台帳に記載し、予約契約の内容を出来るだけ書面化しておくことが契約内容を明らかにする上で重要になります。

また、キャンセルの際のキャンセルポリシーを電話で説明するとともに説明したことを同じく書面化しておくことも重要になります。
予約人数が大人数であったり、貸切予約の場合には、念のためFAXやメールで予約内容(キャンセルポリシーを含む)をお客様に送信しておくと後日の紛争を防ぐ意味で良いと思います。

■□■□■□■□■□
プロフィール
センチュリー法律事務所
弁護士 野村完氏
東京都千代田区大手町1-7-2東京サンケイビル25階
■□■□■□■□■□

ありがとうございました。
次回は、今まで1000人の飲食店スタッフを指導されてきた接客のプロに聞いた、ドタキャン対策です。こうご期待!

[飲食店繁盛研究所]

関連する記事

飲食店繁盛研究所