2023年03月23日

【役員研修】AIが答えを出してくれる時代に、経営幹部はどんな手を打つか

2023年3月18日、役員研修を行いました。 役員研修は、グループ会社11社の社長・幹部が集まり「人間をつくる」「成果を上げる」の観点から実践的な研修を行っています。今回は経済記者も見学にこられていて、参加者はいつもより張り切っていました。

AIが考えてくれる時代に、人間の価値って何なんだ!

役員研修

「學びて思はざれば則ち罔(くら)し」
「思ひて學ばざれば則ち殆(あやう)し」
この意味知ってる?

この問いかけから、社長の森下によるグループ戦略の話は始まりました。
この意味は「教わるばかりで、考えなければ意味がない」「自分程度の人間が考えても、人から教わらないと危なくてしょうがない」という意味です。

しかしGoogleをはじめ、今は検索すれば考えなくても答えが分かる時代になりました。さらにチャットGPTもでてきたとなると、もう人間って考える必要がなくなると思いませんか?
「時価総額を300億から1000億にするための資本政策」
「コンサルティングに強い中堅社員の採用方法」
と検索すれば、AIから答えが返ってきます。

森下は役員研修の参加者に問いかけます。
「AIが答えを出してくれる時代に、人間に残る価値って何だと思う?」

その答えは、
未来に向かって努力を続けること
社会や人の役に立つこと
人と良い関係を築くこと

これが人間に残る価値だと言います。

役員研修
―森下

―森下
「今までのテンポスは、戦略思考がなくてもビジネスモデルで生かされてきた。これまで考える訓練をしてこなかった。そのため単なる物売りから情報サービスも売るビジネスを作りあげていくことに苦悩している。企画力、戦略思考を持つ社員が求められているし、役員研修ではそれを学んでいるわけだ。
AIが企画や戦略をやってくれるようになるには、まだ数十年かかるだろう。その間は考える力は求められる。しかしAIが主流の時代になれば、考える力よりも「自分で実行する」「部下にやらせる」力が大事な時がまた来る。頭を使って仕事をするやり方を習得する一方で、今までやってきた「実行する」「強制的にやらせる」ことが大事な時代が再度くることを幹部社員は理解しておくこと」

新しいやり方で利益を上げるビジネスに挑戦する

不動産紹介事業を作り上げる

テンポスバスターズは、不動産紹介事業に力を入れています。なぜなら開業の早い段階からお客様と接点を持つことで、厨房機器一式の受注を獲得し、客単価をアップしていくためです。

不動産紹介事業を行うには、出店したい人と紹介する不動産情報を集めなければなりません。
2023年1月からテンポスバスターズに来店するお客様に毎日声をかけて出店したい人の情報を集めています。一方で、地元の不動産屋に営業をかけ、飲食店向けの不動産情報を集めるという動きをした結果、これだけの情報が1カ月ほどで集まりました。

・出店したい人の登録数 約1,500件
・不動産情報 約1,500件

しかし肝心な成約数はというと、
出店したい人が1,500人いるのに、成約数は1件のみ。
じゃぁ、次は何をしていくか。成約数1件を100件にするためにどうすればいいかを考えながら、一方で、今取り組んでいる声掛けの件数を増やす、説明のトークトレーニングを行う等、やることを分解して、ゴール設定と業務分解をして取り組むようにと、森下は話します。

役員研修
役員研修中の様子。隣のペアに自分の意見を伝えます。左はテンポスバスターズ営業本部長の遠山、右はぐるなび出向社員(幹部社員)
役員研修
こちらも、テンポス×ぐるなび出向社員のペア。テンポスグループの役員研修に、ぐるなび出向社員が多数参加しています。一緒に会社を作っていくメンバーだからです。

紹介するサービスが多すぎて、頭がパンクしてしまっている社員をどうするか

不動産紹介にしろ、ドクターサービスにしろ、テンポスバスターズの社員は大変です。ドクターサービスだけで30種類以上のサービスをお客様に紹介しなければなりません。これに加えて、新しく始めた不動産紹介の声掛けや、社食サービスの登録案内、インバウンド客の受け入れ案内もしないといけないのです。
その中で、どうやって整理してお客様に伝えるかというと、今後は「連続技」をやっていきます。
空手の練習では、「突き」「払い」「蹴り」等の20以上の技を体得しますが、“払って突きを入れ蹴りで倒す”等の連続技を体得しないと実践では勝てません。テンポスの社員も単発のトーク練習から、連続技のトークを身に付けていきます。

―森下

一方で、森下はドラッカーの話を例にあげ次のように話します。
「ドラッカーは、既存ビジネスだけをしている会社は潰れていくと言っている。でも社員が既存ビジネスをするのは当たり前なんだ。テンポス社員の評価の大部分は粗利評価だ。だから粗利評価をしているうちは、既存ビジネスを社員がやるのは当たり前。新規事業をつくっていくなら兼任ではなく、なるべく専任させよとドラッカーは言っている。幹部社員はこれを覚えておくこと」

【構想】テンポスファンド

テンポスでは毎月買取依頼を多数頂いていますが、その中には、閉店する飲食店からの買取依頼が300件ほどあります。その方達から物件を預かり、新しく開業する方に物件を紹介するという事業が前述した不動産紹介事業です。 しかし、もし良い物件であれば、テンポスがその物件を借りて、運営は飲食店に業務委託で任せるという方法もあります。泣く泣く閉店したけど、もう一度店をやりたいという飲食店には、業務委託で店を任せる代わりに、トレーニングを受講してもらう等、いろいろなやり方ができます。
仮に、業務委託の1店舗の月商が400万円とすると、この業務委託店舗を1年で500店舗、2年で1000店舗にすれば、2年後には、テンポスは既存ビジネス以外で年間480億の売上をつくることになります。

一方で、M&A案件では業務委託店舗で鍛え上げられた飲食店の責任者を、一気に10~20名をM&Aした飲食店に送り込み、経営を再生していくというやり方もできます。普通のファンド企業は資金を出すだけですが、テンポスの場合は人を送り込んで再生するという手の込んだファンド会社になることで差別化を図ることができます。
仮に5億円で買った飲食企業を再生して100億で売ることができれば、それだけで95億の売却益がでます。これまで額に汗して儲けてきた物販ビジネスとは全く異なる、金融ビジネスに進んでいます。新しい利益の稼ぎ方ができるようになっていきます。

と、ここで森下の話は終わりとなりました。
仕事の取り組み姿勢、長期戦略、ビジネスモデルのグループ戦略まで、今日聞いた話を部下に伝えるためのトレーニングをして、午前の部は終わりました。(聞いて終わりではなく、聞いた話を伝える&部署のゴール業務分解まで行うためです)
次回は4月の開催です。

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